はやぶさとともに歩んだ人生~宇宙を志すにあたって~

本日は
・五月祭総括
・はやぶさ帰還
の二本立てです。

つぎに二本目
こちらはホットなニュースです。

■はやぶさ帰還
最近、やっと市民権を得てきた、小惑星探査機「はやぶさ」ですが、いよいよこのプロジェクトも終わろうとしています。
(はやぶさ広報ページはこちら
衛星紹介のページはこちら

僕がはやぶさと出会ったのはなんと、僕が中学一年生の夏休み。
なんと八年前にもさかのぼります!

当時はJAXAではなく、ISAS(宇宙科学研究所)という小さな組織でしたが、その中で最大限羽を広げて研究をしているんだな、という印象をうけました。
はやぶさ、という呼称はつけられる以前でMUSES-Cというコードネームでした。

暑い晴れた夏休み、中学の先生に連れられて(中学時代科学部に所属)ISASの相模原キャンパスの一般公開に行きました。
そこで、MUSES-Cに出会ったのです。
ちょうど、はやぶさの最終調整(?)に入っている段階で、クリーンルーム内での作業をしていたをの覚えています。

しかもはやぶさに搭載されたイオンエンジンの研究者とも直接お話しする機会もありました。
この時ほど、鮮明に宇宙開発を志そうと思った時はないくらいでしょう。
当時の日記が見つかりました!こちらから2002/7/27(土) 「 忙しい 」をご覧ください。)

当時は、燃料電池や太陽電池などの新エネルギー開発にもっとも興味を持っていた時代です。
小学生のころの漠然とした、宇宙への興味が次第に薄れていたころでしたが、これをきっかけに徐々に内面から盛り上がっていくのを実感しました。

はやぶさ打ち上げは翌2003年5月9日です。翌日に日記を書いたようですが、ちゃんとはやぶさを追いかけているようです。
「はやぶさ」打ち上げ

さらに、実はその夏休みに家族の帰省で鹿児島に行ったときに、鹿児島にある内之浦射場(種子島以外にもう一つロケット打ち上げ射場があるのです。現在は使用されていない。)に行ってきました。
旅行の日記
実は、この内之浦射場では、端から端まで見せていただき、なかでも射場や、管制室など特別な場所に沢山連れて行ってもらったのですが、
これは秘密だよ、と釘をさされてしまったので、日記に書けなかった、という思い出があります。
(写真は残っています。そろそろ公開しても問題ないころかな。)

そんなこんなではやぶさとともに宇宙開発の現場を見つめて(?)来たわけですが、受験などで忙しく、あまり宇宙開発に接する機会も多くありませんでした。
しかし、そんななか、宇宙開発系のニュース(JAXAのプレスリリースなど)は心の支えになりました。
特に、はやぶさや、東大中須賀研の打ち上げた超小型衛星などの情報は、いつも注意深くみていました。
どちらの衛星も、小型衛星、超小型衛星なので、どうしても機器のトラブルは発生してしまうものです。
しかし、そこでくじけずに運用を続ける姿勢にいつも感動していました。

はやぶさが、小惑星イトカワに到達したのち、制御不能になり、行方不明になってしまったとの情報を知ってからは、携帯の待ちうけをはやぶさのCG画像にしたくらいはやぶさを応援していました(笑)
地球から遠く離れたところにいる衛星が制御不能になれば、諦めたくなるものでしょう。
しかし、諦めずに知恵を絞ってプロジェクトをやりとおす姿勢、それに感動していたのを覚えています。

はっきり言って、僕にとっては小惑星イトカワに到達して、また飛び立って、制御不能になったものの、再び地球に向けて航行を始めた、ということをしり、とても満足でした。
そもそも、はやぶさに搭載されているイオンエンジンの推力はとても弱く、殆ど技術実証がされていない時代、それを搭載した衛星を作りしかも小惑星に到着したこと自体素晴らしいことなのです。

だというのに、そのはやぶさがついに帰ってくるのです!
帰り道もイオンエンジンの不調などでトラブルもありましたが、最後はクロス運転という最後の最後の切り札(?)で乗り切りました。

13日に、イトカワで採取したサンプルカプセルがオーストラリアに着陸します。
世の中の多くの人は、「小惑星の砂が入っているかな?」と楽しみにしているところですが、僕にとってはあまりに悲しくてなりません。
はやぶさ本体は地球の大気圏に突入し、燃え尽きてしまうのです。

しかし、そんなこともいっていられません。
これは、当初の計画の通りなのですから。
僕よりも、辛いのは研究者・技術者だと思います。
しかし、このはやぶさプロジェクトの苦しみや感動は、必ずや計り知れない影響力を関係者に与えるでしょう。
このさきがけ的な無人惑星探査&サンプルリターンプロジェクトの成功は、次やさらにその次の宇宙科学、というより科学技術全体に良い刺激になると信じています。

まだ、カプセルは地球に落ちていないので、あまり騒ぐのも良くないかもしれないですが、僕にとってはカプセル飛来はもはやおまけに感じてしまうほど、それ以外の部分でのはやぶさの成果がすさまじい、というわけです。
これだけの内容を、一つのプロジェクトに束ね、しかも負けず嫌いの精神(?)でプロジェクトをやり遂げた川口先生は僕にとっては(お会いしたことないのですが。)目標とすべき人だと思っています。
将来、研究者になるにしろ、社会にでるにしろ、粘り強く生きて行こうと思います。