Archive for 6月, 2008

2008.06.21 土曜日 [ Latest News, サイエンス, 大学]

重力波観測装置

今日は三鷹にある国立天文台三鷹キャンパスに行った。
駒場の宇宙科学Ⅱという講義の受講者のうち希望者だけを対象とした施設見学会だったが、僕は昔から宇宙開発や観測などに興味があったので、この見学会に参加した。
小学生の頃に、野辺山にある国立天文台の45mの世界最大級の電波望遠鏡を見学したことがあるが、当時の僕の知識だと電波なんかで星が観測できるわけない、と思ってばかりいた。
なので、いま記憶に残っていることとすればパラボラの大きさと、本当に観測しているのだろうか?という疑いを持っていた、という恥ずかしい記憶だけだ。
さてさて、他には昔には内之浦射場(鹿児島)や、筑波宇宙センターにいったかな。
たぶんこれらは過去の日記に記録されているはずなので略。。(笑)

先ず講義を受け持っている関井先生という方の専門とする日震学研究室での日震学研究についての説明や、その研究の観測装置として利用する「ひので」という観測衛星の話を伺った。
(日震学とは、地球の内部構造を地震波を用いて解析するように、太陽表面を伝わる周期的な波を分析することで太陽内部を調べよう、という研究)
ひのでという観測衛星は2006年に打ち上げられた衛星で、太陽を様々な波長から高解像度のカメラで動画を撮影することで、ある太陽表面での出来事を様々なアプローチで解析しているらしい。

  そういえば、全く関係ないのだが、その説明の際に先生は、
  「太陽の表面はグラニュールという味噌汁が煮立った時のような構造をしている。」
  と表現したのだが、「味噌汁を煮立せてはマズイ」のでは?(笑)と思った。
  しかし実際にグラニュールをみてみると、確かにそのとおりだった。
  日本人としては、味噌汁を沸騰させたくないが、表現の上では仕方ない。というわけか。。。


次にすばる望遠鏡で研究されている、児玉先生の話を伺った。
すばるの話も面白かったが、それ以上に僕が驚いた天文物理のお話を。(マニアックかも?)
今、この宇宙には4つの力のみが存在すると考えられている。
重力、電磁気力、強い相互作用、弱い相互作用、の4つである。
前者二つは無限遠点まで力が及ぶのに対して、後ろ二つの相互作用は、原子核の中でしか作用しない、本当に近い粒子同士に働く力である。

今、宇宙の進化の過程のシミュレーションを行うとする。
このとき、複数の力についての方程式を立てると計算量が膨大になるので大変である。
このとき何の力に注目して計算すればよいだろうか?
もちろん、重力と電磁気力となるが、どちらか、と言われたらどちらを選択するだろうか。

物理の世界では、重力よりも電磁気力のほうが桁違いに引力の大きさが大きい(引力の式に現れる比例定数が電磁気力のほうがとても大きい)ので、僕は、電磁気力に重点を置くべきではないか、と考えたのであったが、間違えであった。
電磁気力は+と+や-と-の間では斥力を及ぼしあうが、一方+-の間では引力を及ぼしあう。
重力には負の質量というものがない(と考えられる)ので、斥力は存在せず、引力だけを及ぼしあう。
宇宙スケールでの物体の運動を考えるときには、電磁気力の作用は無視できることになる。
なぜなら、+の粒子と-の粒子はほぼ一様に分散していると考えられ、星や銀河同士ではそれらの引力、斥力が打ち消しあい、結局電磁気力がないように見えてしまうからである。
それに対して、重力は打ち消すものが存在しないため、十分離れた、と思えるような銀河からもほかの物体が影響を受ける。

だから、最近スパコンで宇宙の進化の様子のシミュレーションなどを計算しているが、これらは重力だけを星間の相互作用として計算機を走らせているらしい。
宇宙を議論するには、やはり重力の効果は大切なのだと思い知らされた。


重力がらみだが、3つ目には三鷹天文台でもしっかりとした観測のできる、観測装置の重力波観測装置(TAMA300)を見せてもらった。
これは、アインシュタインの一般相対性理論の帰結として導き出された、「重力波」というものの存在を証明する装置である。
しかし、この装置、超新星爆発やブラックホール同士の衝突などといった、宇宙でもあまり起こらないイベントが起きないと観測できないようなそうちでもある。
近く(調布駅までバスで15分もの距離だが)を走る京王線の揺れにさえも検出してしまうらしい。
そのため、この装置もバックグラウンドノイズが大きく、コンピューターと人間の能力を駆使して、ノイズと必要なデータの分別が必要となる。
ノーベル賞受賞者の小柴さんの実験と同様、観測データの分析がとても大変なようだ。
重力波観測装置の概要
さて、この装置の様子を図示してみた。
(画像ソフトで書けばいいのだが、新しいスキャナーを買ったこともあり、それを使いたくて手書きで書いてみたものの字が汚すぎますね。すみません。。。)

物理をやっている人にとってみればわかるとおりこれはマイケルソンモーレーの実験装置そのものである。
皮肉であろうか、特殊相対性理論以前には宇宙全体にエーテルという光の波を伝える物質があって、その中を地球が通るため、地表面にはエーテル風という風が吹く、と信じられていたのだが、それを証明するためにマイケルソンとモーレーという人の行った実験である。
この実験は失敗し、当時光の速さはわずかに異なると信じられていたので驚くべき事象であった。
世界中の物理学者はそれでもエーテルがあると考えていたらしいが、これは失敗でなく「光速不変の原理」だ、と述べ特殊相対性理論を生み出したのが、天才物理学者といわれるアインシュタインである。
というのに、今度はマイケルソンモーレーの装置はアインシュタインの一般相対性理論の証明に用いられようとしている。
なんという皮肉であろうか!(笑)
(ただ、装置が同じだけで、今度の場合エーテルの存在の証明ではなく、重力波により空間が歪むことを証明する目的であることは注意が必要。)

この実験は光の干渉を利用してその干渉縞のずれを観測することで、時空の歪みを計測しようとしているわけであるが、観測装置はなんと300mのトンネルが直角に二本掘ってあり、この中を超高真空の直径40cmものパイプが通っている。
150mほど歩かせていただいたが、とにかく長い!
すごい大がかりな観測装置である。

約1μmの波長(赤外線)のレーザー光をさらにモードクリーナーという装置で厳密に波長の長さをそろえて装置に打ち込んでいるらしい。
入射レーザーの明るさは10W。
電球にしては暗いと思うかもしれないが、レーザーポインタ一本が1mWで、光線の太さは同じくらいである、ということから考えると、つまりレーザーポインタの一万倍の明るさの光が常に装置の中に打ち込まれている。
まぁ、半径数ミリの範囲に毎秒数十ジュールもの熱量供給がなされる、という見方ができ、どう考えてもこれは恐ろしいエネルギー供給だと実感できるだろう。

さらにこの実験装置の素晴らしいところは、光を再利用していることだ。
反射板に入射するまでの光線を赤色で書き、反射板で反射した光線を青色で書いたのだが、光分配器を通過した光は二方に向って分岐される。
しかし、うまく距離を調整することで、干渉がない間は空間の歪みが起きない限り検出器側に光が漏れないように作ることができる。
そうすると、空間の歪みが起きた時に、突然明るい光が検出器に現れて空間の歪みが観測できるだけでなく、光を再利用できることに利点がある。
光分配器でのエネルギーの収支が一定なことから、検出器にほとんどエネルギーが流れず、代わりにほとんどがリサイクリングミラー側にエネルギー供給、つまりレーザービームが流れ込むことになる。
ここでリサイクリングミラーの登場である。
リサイクリングミラーは一往復してきたレーザー光線をもう一度分岐器に撃ち戻すことができる。
レーザービームのリサイクルである。
うまくリサイクリングミラーを調整することで、入射レーザー光の5倍近くの明るさの光線が常に検出装置の内部に飛び交わせることができているらしい。
できるだけ実験の精度を向上させることで、良い結果を得ようとする重力波研究室の努力はすごいものだと思う。
何かいいイベントが発生することで、重力波の存在を確認し、さらに重力波天文学の発展も期待したいと思う。
(重力波により、電磁波(光も電磁波の一種)と全く異なる性質をもち、いままで電磁波観測では観測できなかったビックバン直後から約38万年の間の現象をも観測できると期待されている。)


今日は楽しい一日であった。 少し冷えてきていた宇宙熱がヒートアップしそうだ。
(↑宇宙熱という熱が存在するのではなくて、僕の宇宙への好奇心が盛り上がりそうだということ。念のため。)
またさまざまな宇宙開発の分野に目を向けていけたらいいなと思う。

2008.06.20 金曜日 [ Latest News, 大学]

週三回の自主ゼミ

(高校時代に通っていた)塾のメンバー+αで、放課後に自主ゼミ(輪講)をやっている。
4月の間は週二回ペースでやってきていたのだが、最近はそれぞれ違うテーマで、しかも週三回のペースになってきた。
はっきり言って、体力的に無理をしていると思う。
終了予定時刻は21時にしようと言っているのに、21時に終わったためしがない。
というよりも、毎回議論が白熱するため、結局22時過ぎに終わっている。

ゼミは自分たちのペースに合わせて、教科書を読み進めていくことができるので、とても楽しいのだが、次の日の授業が一限からだと、本当につらい。
サークルとかで練習に打ち込むあまり授業をさぼってしまっている友人たちの気持ちが痛いほどよくわかる。
でも、僕はまだ頑張って全ての授業に出ている。
いつかは、しわ寄せがきて体力的にダウンしてしまいそうで怖い。

さて、再来週は英語のテスト。
期末テストの勉強も進めていかなければなぁ。と思いつつ、まだスタートラインにさえ立てていない。テスト勉強も頑張らなきゃなぁ。


PS
学校の友人の何人かはこの日記を見ているようで、「まだ日記更新しないの?」(統計の授業にて:N君)などと言われてしまった。(笑) でも頻繁に日記を更新するような余裕がないので、更新がまばらになってしまうこと、許してください。

2008.06.13 金曜日 [ Latest News, 大学, ]

梅雨晴れ

梅雨のうっとおしい日々も、巷で言われる全地球的な気候変動の影響か、少ないようだ。
僕にとって梅雨は梅雨なりに、室内にこもって勉強をするには絶好だし、精神力の鍛錬にはちょうどいい季節だと思っていたのだが、今年はまだ蒸し暑いだけでうっとおしくはないようだ。
しかし、梅雨がちょうどいいなどと言っているばかりのあまのじゃくなわけではない。
6月の晴れの日は僕が最も好む天候であるのも否めない。
夜は、風がさわやかで、快適に過ごせるからだ。

今日は先週に引き続きUROPがあったが、夜はさらに合氣道にもいった。
小学生のころから地元の合氣道道場に通っているが、受験が終わりいま再開しやっと感覚を取り戻してきたところである。
受験期は、塾の物理の授業と日程が重なり、合氣道をあきらめざるを得ず、悔しい思いをした。
しかし受験が終わってからは合氣道にほぼ毎週出席できるようになった。(といっても、五月祭の前日など出席できないこともあったが)

とはいえ1年間のブランクがあったわけで、昔の感覚を取り戻すのはなかなか難しい。
まだ、昔の感覚を取り戻し切れていない。
むしろ、体が硬く(重く)なったと感じられる。
硬いというのは、ストレッチができないといったことではなく、合氣道の技をこなしていくうちで必要となる、体の捌き(さばき)や受身が鈍くなっているのである。
単純、と言えば単純な話だ。
ずっと頭で考えるトレーニングを積んできてしまったためか、考えて体を動かそうとしてしまう。
次に相手をどう操るか、などなど様々なことを意識しながら動いてしまうので、ギチギチに硬くなってしまう。
無駄なことを考えてばかりいるから、体が硬くなるのだ。

とは言え、武道なので全身に神経を集中させる、という意味では常に意識し続けなくてはならないのも確かだ。
相手を察し、自分も全身の末端まで完全に的確に操れているのかと思えるようにまで意識しなくてはいけない。

徐々に体を「柔らかく」動かせるようになってはきた気がしている。
さらに、練習を積み重ねて、全身の末端まで「意識」できるように努力をしていきたいと思う。


(ついしん)
今日、久々に大学の生協書籍部で本を購入した。

・「力学・場の理論」ちくま書房、ランダウ・リフシッツ著
・「量子力学」ちくま書房、ランダウ・リフシッツ著

以上二冊は大変有名な本であるが、特に下の本はいままで絶版だったものが改定されて出版されなおしたものである。
しかも、ちくま書房は文庫本として、これを売り出している。
よく物理の人の間では、このちくま学芸文庫と呼ばれる文庫本シリーズの話題になるが、
いやはやこれは、ほとんど利益を考えていないのではないか、といわれるほどのお手ごろ価格なのである。
(といってもこれは他の同内容の専門書と比べて安いだけであり、だいたいそれでも1500円近くもする。数式を印刷するのに少々コストがかかるようだ。まぁ、一般的な文庫本の値段に比べてしまえば高すぎる値段ですね。。)

2008.06.09 月曜日 [ Latest News, 大学]

UROP三回目

先週金曜日は3回目のUROPに行ってきた。
UROPとは以前の日記で書いたとおり、駒場にある生産技術研究所の希望する研究室で「学部生が大学院生と一緒に研究や実験をする」というものである。

UROPとして僕は渡辺正研究室に所属している。ここの研究テーマは「光合成に関与するクロロフィルという分子とその変異体の構造を調べることで、光合成の仕組みを知ろう」というものだ。

ところで、僕がこの研究室を選んだのはもちろん研究内容に大変興味がわいたからだが、実はここの研究室の渡辺先生は、化学グランプリの副委員長だった…ということをあとから気づいた。
確かに思い返してみると、先生と面接したときに「どこかで見覚えがあるなぁ」とまでは思ったのだが(笑)、まさか高校生の時にお世話になった先生とは。。。
これを知って、研究室の方たちとさらに親近感を持てたことは、うれしかった。
しかも、化学グランプリ本戦でもらった白衣を、気兼ねなく堂々と着れるので、白衣を新たに購入せずに済んだ。
(胸ポケットに目立つように化学グランプリと書かれているので、恥ずかしさもあって実は着ることに少しためらいがあったから。)


今研究室全体での研究が次のテーマに移行しつつあるらしく、指導教官の先生方とともに手探りな状態である。
僕が夏休みまでテーマとするのはクロロフィルCを持つ生物の光化学系の内部の分子構成を研究するものである。
そのために様々な物質をHPLC(*1)に通して、性質を調べようとしている。

これまではずっとクロロフィルaを利用していたのだが、前回初めてクロロフィルcを分析にかけた。
しかし、うまく分析機で分離ができなかった。
なので、まずは分析機の調整が次回の課題になりそうである。
ちょっと面倒なことになりそうだ。


(*1)高速液体クロマトグラフィー:分子をカラムという障害物の詰まった管に流すことで、物質ごとのカラムの流れやすさの違いから、物質を分離、検出しようという機械

2008.06.08 日曜日 [ Latest News, 音楽]

ゴスペルナイト

大学生になっても忙しさは変わらないようだ。
日記が全然更新できない(笑)
できる限りこまめに更新できるように頑張ります!

先日(4日)夜に、渋谷文化村オーチャードホールに「ゴスペルナイト」というコンサートを聴きに行った。
ある電鉄会社Tが、毎年企画する無料音楽コンサートの一つで、今年は黒人霊歌として有名なゴスペルをテーマにしたコンサートだった。
先月、偶然電車の中づりでこの企画を知り、(合唱好きな僕としては無視できなかったので)すかさず携帯電話から応募した。
抽選だし、倍率高いから当選しないだろう、なんて思っていたら招待券が届いた。
最近、音楽と無縁の生活を強いられる(?)ようになってからというもの、少し落ち込み気味だった僕としては、嬉しい知らせであった。(笑)

というわけで、ペアチケットだったので、高校時代から合唱をやっていたということで、しょっちゅう合唱トークで盛り上がるクラスメートのKと共に聴きに行った。
知っている曲が聴ければそれで構わないだろう、とあまり期待せず(主催者の方、すみません!)2人で会場に向かった。
いや、しかし会場で渡されたパンフレットを見て驚いた。
グラミー賞を受賞したシーシーワイナンスがゲストとして招待されていた。
ステージは二部構成になっていて、ワイナンスは第二部に出演するので、はじめは別の団体から。

別の団体といっても、第一部の団体はとても上手だった。
途中で、日本人の牧師さんがゴスペルの話をいろいろと交えながらの楽しいライブだった。
先日ニュースで、近年教会でゴスペルを歌う宗派(福音派と言っていた気がする)が全米で人気だ、などと聞いたのを覚えている。
たしかに、ゴスペルの響きは大変気持ちの良いもので、エクスタシーを感じるというのも否めないものだろう。
あのような、一種の騒がしい形で信仰をするというのは、魅力的で興味をそそられる。
(といっても、個人的には禅宗の閑けさのようなものに強烈に感動してしまうのも、確かにある)

話がずれたが、第一部の演奏を聴いて、彼らの音感の良さと、ゴスペル特有のちょっとハスキーな声での安定した発声に感動した。
ユニゾン(全パートともに音価が同じ)の部分は全員の息がそろって、直接心に訴えられるものがあった。
またハモる部分は一瞬の隙もなくキチキチと音を合わせて、一瞬の濁りもなくとてもきれいだった。
極めつけは、全員でハモりながらポルタメント(=グリッサンド:ある音から他の音に移る際、音高を連続的にずらしながら移行する唱法)していたのが感動的だった。


第二部はシーシーワイナンスの登場で、さらに会場は盛り上がった。
ワイナンスの歌と、観客の手拍子がインタラクティブに影響し、ホールの一体感があった。
しかも、ワイナンスの声はとても美しい。
その一言に尽きる。
どのようにすればあのような太くて、感動的な声になるのだろうか、と思うほどであった。
第一部以上の会場の盛り上がり具合で、時間もあっという間に過ぎた気がする。

最終曲はゴスペルの十八番、「Oh Happy Day」を会場全員で歌おうというものだった。
あまり、会場全体から歌声が聴こえず(あたりまえか。)僕も不完全燃焼で残念だったが、それでも本当に楽しかった。


金曜日はクラスコンパやUROPがあった。
UROPの内容は書きたいと思うので、明日にでもしっかりと日記を書きたいと思う。