熱力学がアツい

最近はPCの話ばかり日記に書いていたような気がするから、たまには授業のことも書こうかと思う。
学校が始まって一か月が経とうとしていて、だんだん授業に慣れてきたのだが、とにかく熱力学の授業は面白い。
担当教官の専門は複雑系で、これは熱力学を応用して得られる一つの学問である。
大学の教員というものは、自分の専門分野がある分、講義にも自分の専門分野の内容を絡めて話さずにはいられないようなのだ。
同時に自分の専門分野を話すときが、最も生き生きと話すときでもある。
だから聞き手もその話を聞くと面白く感じるのであろう。

特に熱力学のI先生はその傾向が顕著で、授業中に熱力学の基礎とは全く関係ないことを話し続けたりもする。
たとえばミクロとマクロの違いの話をしているとき、
「熱力学をミクロにみると分子運動として系を見ることができて、このときは分子は一つ一つについての運動方程式をたてないと運動が理解できない。
しかしマクロに系をみると圧力などという概念が生まれ、さらに複数の運動方程式がわずか何本かの、気体の状態方程式で理解することができる。
ミクロとマクロの現象の間には必ず境界線があるはずなのだが、その境界付近でどういうことが起きているのかを理解するのは難しい。
では、このミクロとマクロの考え方を、脳内のニューロンに適用できれば、ニューロンがマクロと見なせるほどたくさんあつまるとき、意識が生まれる、と捉えることはできないだろうか。・・・」
という調子で授業の本筋から内容がずれていく。

教養学部時代の教科書は読めばわかるように書かれている。教科書通りに授業を進めるつまらないやり方はしないほうが良いのかもしれない。
だから、彼のように熱力学のアツい授業は(多くのクラスメイトからは難しくて分かりにくいと、あまり評判良くないものの)理想的だと言えるのではないだろうか。少なくとも僕は非常に楽しい。

今、自主ゼミを行っているが、自主ゼミで使用している教科書も懇切丁寧に書かれているものなので、読めばわかってしまうようなものが多い。
だからこそ、自分が皆に面白い講義を展開できるように、彼ほどまでとは言わないものの、できるだけ教材を深読みしてセミナーを進めていきたいと思っている。

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