地磁気の部屋

この下にある地磁気の話は、のサイエンス友の会のレオナルド・ダ・ヴィンチ教室のときでした。
ちょうど6Fで、磁石の事を教えてくれる会がありました。
その会にいた先生に、メールアドレスを聞きました。
その先生の名前は、kojimaさんです。
そこで、会のときに質問したかったことを聞くことにしました。
それが地磁気のことです。

1つ目は、
何故、地球の中身は熱いのに、磁力が出るかを教えてください。

2つ目は、
何故、25000年に1回N極と、S極が変わる説は、どんな事だと自分では思っていますか?

ということです。
そのことを、kojimaさんが教えてくれました。ありがとうございました。

地磁気の逆転現象

「どうして地磁気があるのか?どうして地磁気の向きが長い年月の間に逆転するのか?」これが君の質問でしたね。渡辺先生が文献や論文を紹介して下さいました。また多くの方が意見を述べてくれました。 そこでこれらの情報をまとめて紹介したいと思いますが、私自身よく理解していないところもあることを承知しておいて下さい。
特に、専門誌「パリティ」の1994年11月号に掲載された力武常次先生が書かれた「地磁気はどうして生まれるか?」が参考になりましたので読んでみるのもよいでしょう。

先ず、「どうして地磁気があるのか?」ということですが、地球には磁場があって、磁気コンパスが北の方向を指すことは大昔から知られていました。また、この性質を船の航海に利用してきたことも知っていますね。

さて今から150年ばかり前、この地磁気が発生する原因は地球内部にあることが明らかにされました。しかし、地球内部の何が、どのように働いて地磁気が発生するのかは良くわからず色々な考えが出されました。その中でも一番単純な考えは、地球そのものが永久磁石であるという考えです。つまり、永久磁石のまわりに磁場があるように、永久磁石である地球のまわりにも磁場があるという考えです。しかし、地球の内部が高温になっていることが分かってからは、この考えは否定されました。なぜなら永久磁石が高温になると、磁力がなくなるからです。つまり、地球内部は高温になっているので、永久磁石の性質をもつことはないからです。なお、付け加えて説明すれば、(強磁性)物質が磁性を失う温度をキューリー点といいます。

現在、地磁気を説明するための非常に有力な説として「流体ダイナモ説」があります。地球の内部には鉄などの導電性物質が高温になって液体のようになっている外殻と呼ばれる部分があり、この部分では熱による対流や地球の自転による運動が生じています。つまり、もともとある地球磁場の中で導電性流体が運動することによって電流が生じ、この電流により、もとの地球磁場を保つような性質の磁場を発生させるようです。このような仕組みのために地磁気はいつまでも消えずに存在すると考えられています。




次に、「地磁気の向きが反転するのはなぜか?」という話に移りましょう。地球の磁場を観測すると毎日あるいは毎年変化しています。また永年変化といって非常に長い期間をかけた変化もあるようです。永年変化の例として、磁化された方向が互い違い(反転)になっている大規模な"しま模様"の状態が海底の土や岩に観測されるところがあります。これは非常にゆっくりとした地球磁場の変化と地球のプレート移動との作用でできたとされています。これが大陸移動説の証拠とされていることを知っていますね。

この地磁気の反転現象を説明することは非常に難しいことですが、この文章のはじめにあげた論文の中で力武先生の考えが述べられています。それによれば地球の内部における導電性物質の運動はどこでも一様ではなく、部分、部分に乱れやうず渦が発生していると仮定してモデルをたてると、ある条件のもとではこのような磁場の反転が説明できるとのことです。(このようなモデルを力武モデルと呼びます。)

もっと詳しく調べるためにこのモデルを使って方程式(非線形微分方程式)をつくり、いろいろな条件を入れてコンピュータで計算します。この方程式にはいくつかの解(式を満足させるための答え)があり、一つの解(答え)からうず渦の発生などにより条件が変化して別の解へ移る時に地球内部で生ずる電流に振動が生じ、それによって地磁気も変化するようです。しかし電流の変化により必ず地磁気が反転するわけではなく、磁気の方向は同じで、磁力が弱くなるだけのこともあるようです。

今まで述べてきたように地磁気の反転現象は研究の最先端のテーマであり、今後も色々な説が出されることと思われます。地球の内部がもっと分かればこの分野の研究がもっと進むことでしよう。

感想

僕は今まで、最初のほうに書いてあった
『地球そのものが永久磁石である』
ということだと思っていました。
でも、前から
『なぜ熱いのに磁石になるのだろう』
と、不思議に思っていました。
それが今回わかってよかったです。
でも、まだなぜはっきりと流体ダイナモ説ということが確定していないのだろう?
とか、よく地球の内部までわかったなぁとおもいました。
これからも質問していきたいです。


ここより下にある地磁気の話は、このページを見てくれたいとこからのメールです。
いとこは、大学生です。分野は、地球科学を勉強しているそうです。
だから、上のkojimaさんのことに、付け加えてくれました。

こんにちはしんいちです。

このまえはごめんね
いまテスト中だったりしてなかなか川崎に行けませんでごめんなさい。

りょう君のページの「地磁気の部屋」みましたよー
なかなか高度ですね、大学生でもあまりそこまで理解している人はいませんよ
そういう好奇心はとてもすごいと感心します。

この分野はkojimaさんが言われているように諸説あるみたいで、まさに研究が
進んでいる分野のようです。
僕も完全に話しを飲みこめているわけではないですが多少の補足をさせて下さ
い。

地磁気の変化には地球の内部にあるマントルや核といった部分がだんだんと変
化してきたことが(進化してきた)ことが大いに関係あるとされています。

地球はさいしょ直径10kmほどの微惑星が衝突と合体を繰り返して、やがて現在
の地球サイズの大きさとなって。その衝突時の運動エネルギーが熱となり、地球の温
度は次第に上昇してとっても暑く(熱く)なりました。(★1)

イメージとしてはおばちゃんがケーキを作るときのボールみたいに、小麦粉や
たまごなどの材料がごちゃまぜに入っている状態です。それがだんだん時間が
たってくるとスポンジケーキとヨーグルトの層とぶどうのゼリーの層に別れて
おいしいハートのケーキになっていくわけです。

その過程の途中で(およそ27億年前くらい)急に地球の磁石のちからが大きく
なり今の強さにだんだん近づいてきました。なんでそうなったかははっきりは
わかっていません。ただ次のようなことが言われています。

40億年前くらいに地球に海ができて、海水にそれまで大気に充満していた二酸
化炭素がとけこみ地球はだんだん寒くなっていきました。(いまの二酸化炭素
などによる温室効果の逆方向の変化です)

(★1)では地球全体がとっても熱くてどろどろでしたがだんだん表面から固まっ
ていきます。

このとき表面では「プレートテクトニクス」といわれる地球の表面近くでの運
動が始まります。この「プレートテクトニクス」ということばはよくききます
よね。日本の近くだとハワイのほうからのプレートが日本の下のほうへ沈みこ
んでいきます。この地球表面のプレートはとても冷たいです。それがマントル
のなかに落ちていきます。(ちなみにまんとるは固体ですよ)
するとこれが外核のそとがわに積もります。外核の外側は通常は4000℃くらいで
すがこのプレートがおっこちたところはおよそ2000℃位でほかの外核の表面よ
り冷たいということになります。

外核は液体でできています。この低温部のすぐ下の核の液体は冷たくなって中
心のほうへ向かい、暖かい液体(液体の鉄)が上ってきます。(対流です)この液
体は一種の電子の海ともいえます。で、この対流がどんどん激しくなると地球
の電子の対流がとても激しくなり磁場が生まれてきました。
(ここらへんはりょうくんは磁石の実験をしたからよくわかっていると思いま
す)

この磁場はもう一つ地球に大切な働きをしました。この磁場のおかげで太陽か
らの有害なエネルギー(紫外線です)粒子が届かなくなり生物が海から陸地に移
動できるようになりました。(磁場のバリアーといったところでしょうか。)す
ると光合成が始まり大気中の酸素が増えていきました。同時にこの酸素は水中
にたくさんあった鉄のイオンを酸化鉄として鉄鉱層にたくわえていくこともお
こりました。この鉄は現在の工業では欠かせない材料になっていますね。


上にかいたようなことは

丸山茂徳 磯崎行雄 「生命と地球の歴史」岩波新書 岩波書店 1998

に図表つきであります。

参考になれば幸いです。ではでは

感想

僕は、これを読んで、『ケーキのように』などで、表現しているのがさすがだなぁ思いました。
でも、僕はなぜ鉄が対流を起こすだけで、磁場が起きるかを知りたいです。
多分鉄が、-の電子か+の電子を持っているから、コイルに電気を流すような感じになるのだと思います。
水に鉄粉を入れて水を加熱したら、多分対流が起こって、磁場ができると思います。
でも、その磁場で、紫外線をバリアーするとは思えません。
なぜかというと、紫外線はO3(オゾン)がまもっていると思っていたからです。
詳しい情報をもらったら、またここに出します。
またよろしくお願います。

(2001/02)

ホームへ戻る