我が町自慢 – その壱

さてさて、連載を予期させるタイトルを書きつつ、あまり更新頻度がよくないので(これまで同様)連載ができないのではないか,と危惧しつつも,タイトルを「その壱」としてみた.

私は生まれも育ちも川崎市○○区.
なんだかんだいって結局小中高と市内の公立校に通ってきたわけで川崎市に対する愛着は強い.
最近,川崎市内で移動することも多くなってきたことも多いので、川崎市について自慢(?)を書いてみようと思ったわけだ.

■川崎市の基本事項
川崎市は100万人を超える都市ではあるが,あまり印象が強くない.
川崎市は東京都の一部と勘違いされることも頻繁にあるようだが,あくまで神奈川県川崎市である.
なぜ,印象が薄いかというと,東京と横浜の間に挟まれていること,そして更には東西に都市が広がっていて南北の距離が短いことであろう.
うなぎの寝床といってもいいほどの細長さである.

細長さは都心部からの主要鉄道線の駅の川崎市内の駅の少なさを見れば明らかだ.
京急本線は京急川崎駅,八丁畷駅の二駅のみ.(他に大師線という川崎大師方面に行く路線はあるが.)
JR京浜東北,東海道線に至っては,川崎駅だけしか市内の駅がない.
他にJR横須賀線・湘南新宿ライン,東急東横線・目黒線・田園都市線,小田急本線・多摩線,京王相模原線という路線が都心から放射状に広がっているが,どの路線も市内の停車駅はそれほど多くない.

ついでに市内の主要の電車に関していうならば,域内の大動脈となっているのはJR南武線 (川崎-立川) のみである. 
しかもかつて山手線を走っていた「旧国鉄最新鋭の(笑)量産型通勤型電車」が走るが,どうも田舎くさい側面は否めない.(本数があまり多くない,スピードがあまり速くないからか.)
しかし,予想以上に川崎は南武線があるおかげで域内交流は盛んである.
高校時代,毎日のように南武線を使っていたため,単に親近感が沸いているだけなのかもしれないが.(苦笑)

■川崎駅周辺
川崎市は東西に長い都市であることを説明したが,東西 (海側・山側) で街の雰囲気は違っている.
西側はマンションなどが目立つベットタウンなのに対して東側は先端技術を支える企業の建物や,さらに臨海部には京浜工業地帯と呼ばれる工業地帯が広がる.
市外の人から見た川崎市のイメージは,臨海部の工業地帯のイメージが強い.

しかし,川崎市としてもその工業地帯のイメージの払拭に力を入れている.
川崎市東部地域の玄関口である川崎駅周辺,また来年から開業する湘南新宿ライン・横須賀線新武蔵小杉駅周辺の再開発事業に取り組んでいる.

川崎駅周辺の再開発についてはほぼ終わったといえよう.
特に川崎駅西口には駅前に「ミューザ川崎」という音楽ホール兼オフィスビル,「ラゾーナ川崎」という大型商業施設がある.
今回はこのミューザ川崎シンフォニーホールについて書きたい.
(前置きが長くなりすぎてしまいました苦笑)

■川崎市と音楽
ここ数年間,川崎市は「音楽のまち・かわさき」というテーマを掲げて市内の音楽活動への積極的支援をしている.
「音楽のまち・かわさき」推進協議会なるものが,ミューザ川崎シンフォニーホールのこけら落としコンサートのちょっと前に発足し,ミューザ川崎が開館した.

ミューザ川崎開館当初は,ただの箱物で税金の無駄遣いである,というような批判がされていたが今では市民皆が認めるすばらしいホールだ.
ホールはサントリーホールとほとんど似た構造をしており,ホールの音響がとてもよい.
(僕はサントリーに入ったことはないのだけど苦笑)
ワインヤード形式と呼ばれるのは,舞台から客席を見ると葡萄の段々畑のように見えるからだそうだ.
一般的なホールのように客席が何層にも分かれることがないのでどの席で聴いてもきれいな演奏が聴ける.しかも響きがよい.

ちなみに響きがよいホールというのは,演奏者には少しだけ不安感を与えたりもする.
ミューザ川崎のステージで合唱する機会がたまにあるのだが,自分の発した音はすべて客席に吸い込まれるような感覚になってしまう.
空間が広く (しかもワインヤード形式のホールはステージ後方にも客席がある!),客席に音がまっすぐに届いてしまう分,自分の声のはねかえりが聞こえない.
自分の声だけでない,もはや2・3メートルはなれたところで歌う人の声さえ聞こえないのだ.

しかし,まったく聞こえないのではない.
たとえばドミソの和音を響かせたりすると,ホール全体が共鳴しているのを体感できる.
きれいな和音で終わる曲などを演奏すると,演奏終了直後1・2秒だけであるがホールがその和音で包まれる. (これを残響という)
残響を聴くと,演奏者はホールの音響の良し悪しを体感できる.
ミューザ川崎の残響は本当にきれいだ.

以前,高校の創立50周年記念でミューザ川崎を利用した際,舞台設営の際にステージに上がったとき,軽く「ぽんっ」と手をたたいてみたことがある.
軽くたたいただけなのに,ホール全体にこの音が響き渡った.
天井から,音がゆったりと舞い落ちてくるような感覚を得た.

残響は舞台上にいる演奏者が一番よく感じられる (しかも客席に人がいないときほど残響時間は長い) わけだが,客席にいる人も残響は印象的なものだ.
あまりに残響時間が長いと,演奏にとっては大きなノイズになってしまうものだ.
しかし,響きの時間がちょうどよいホールは本当に気持ちがよい.
(そういえば先日錦糸町の墨田トリフォニーホールにわが大学の音楽部管弦楽団の演奏を聴きにいったときも,ホールの響きに魅了された.)

ミューザ川崎の客席にいて,残響ではっとしたことといえば,演奏終了後の拍手だ.
先ほどステージ上で手をたたいたときの感想を述べたが,客席での拍手も,ホールに自分の音が溶け込む感覚を得られる.
普通のホールだと,拍手の音は「パシャパシャパシャ」という感じの音が聞こえるが,ミューザ川崎での拍手は「シャーシャー」という音でとても心地よかった.

そんなミューザ川崎シンフォニーホールに何度も訪れる機会があるのはとても幸せなことだ.
僕の高校の合唱部は中堅クラスのレベルである.
(神奈川県で1,2位.たまに関東大会で上位に入るレベル)
そんな合唱団であるが,川崎市の音楽活動には大きく貢献してきている.(と思う)
高校時代は依頼演奏や,合唱祭に参加のために頻繁にミューザに出入りしていた.
いろんな楽屋を使ったし,舞台設営などで舞台装置やピアノの移動の手伝いなどもさせてもらったこともある.(ピアノ倉庫にはたしか一箇所に5,6台ものピアノが入っていた! 実はスタインウェイのピアノも触ったことがあるのだ.)

そんなミューザ川崎におととい7月5日に行った.(高校卒業以来久々)
川崎市の合唱連盟が主催する合唱祭というのがありそれに参加したからだ.
高校の合唱部のOB,OG系の合唱団がいくつもある.そのうち3団体で出場したわけだ.
あまり練習に参加できず本番一発勝負の曲ではさすがに思うように歌えなかったけれど,高校時代以上に多少はついたであろう歌唱力と心の余裕があったためか,舞台上では本当に楽しかった.
(もちろん高校時代だって舞台で歌うのは楽しかったですよ.)

ミューザで行われる川崎市の合唱祭は年に一回.
最近ミューザ以外のホールに行くことのほうが多くなってきてしまったが,これからもミューザに行く機会があればぜひとも行きたい.

ミューザ川崎シンフォニーホールでは平日の昼や夜にも専属オルガニストによるパイプオルガンコンサートなどが行われており,気軽に訪れることのできる場所である.
ぜひ,川崎近辺に住んでいる人はミューザ川崎シンフォニーホールに遊びに行ってみてはいかがでしょうか?
(ミューザのとなりにあるラゾーナ川崎もお勧めである.)

<参考ページ>
・ミューザ川崎シンフォニーホール公式サイト
Wikipedia「ミューザ川崎シンフォニーホール」
ラゾーナ川崎プラザ

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