イギリスで運転免許を取得した話

イギリスに長期滞在することになり、在外選挙権の登録とともに個人的に重要だと思う事項が現地の運転免許の取得、だと思います。
実際に取得してみてわかったことはEU域内で自由に運転できることに加えて、身分証明書としての価値が高いということです。
身分証というとパスポートや、日本における在留カード(Gaijin card)にあたる、BRP (biometric residence permit)というIDカードがありますが、これらの証明書は「イギリスに在住・修学・就業等の許可」を示すことには十分ですが、住所の記載がありません。
運転免許証は私が持っているIDのうちで唯一住所・氏名・生年月日がすべて記載されている証明書でして、(まああまり住所を見せる必要が出てくることは多くはないですが)それだけで価値があります。

一番よく使う機会は、家の近くにある、イギリスで最も大きな大聖堂であるヨークミンスターに入場する時ですね…。ヨーク市内に在住していることを示すと、無料で入場できます。

※銀行から毎月PDFで送られてくるBank statementという、通帳がわりのサマリーがありこちらに住所の記載があるので、実務的にはこちらの書類や他の自分宛の公共料金の請求書などを使うことで現住所を証明することができますので運転免許がなくても生きていけます。

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申請のためにはまず日本大使館で「運転免許証の翻訳」を取得する必要があります。
在外選挙の登録の申し込みなどもしたかったため、ロンドンにいる大学の同級生とご飯に行く約束のついでに、大使館領事部で申し込んできました。
数日後に翻訳と日本の免許が帰ってきます。(もちろん郵送申請も可能)
その後、イギリス運輸省の指定の書式(インターネットで応募すると郵送で申請書を取り寄せ可)をうめ、郵便書留で運輸省に送付します。
在ロンドン日本大使館のページの誘導どおり決められた担当者に送ることが必須です。


この申請書を郵送する時に、申請料を現金書留で送らないといけないのですが、「切り替え申請なら無料」という文言が説明がきにあったことを自分の話だと読み間違えて、お金を入れずに送ってしまいました。
数日後に自宅宛に申請書一式と、「新規に免許証を発行する場合の費用」に対応するお金を入れるようにとのコメントが届き、慌てて郵便局で郵便為替を購入して送りかえしました。

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待つこと数週間。。。


すぐに英国の免許証が発行されました。素早い。
フランスに住んでいた知人はフランス滞在の数年間の間に結局運転免許を取得することはできなかったそうです。お国柄ですかね。
その後、10,11月にかけてドイツの田舎の研究所への出張が控えており、ドイツでの車の運転が必要になるであろうと思っていたので免許証があることは心強かったです。
10月の出張では運転しませんでしたが、11月と翌年2月の出張では車を借りて田舎道や、空港までの送迎をかねてアウトバーンを行き来する生活をすることとなりました。

イギリスの免許証、当然ですが英語で記載されているのでどこの国に行っても認識されるし、今のところBrexit後もEU域内で免許が効力を持つ見込みなので、EU各国で自由に車が乗れることが本当に嬉しいですね。

ちなみにヨーロッパはマニュアルトランスミッションの車がまだまだ多いので、運転したい人はMTの感覚を思い出しておくと良いです。(もちろんレンタカー屋さんではAT車を選択することもできますが。)


–> 実にバカで実直な実験物理学者なので制限速度がないといわれたら当然やれる限りのことはやってみたいと思ってしまうんですかね。
「運動エネルギーは速度の二乗だからいまハンドル操作を失敗して壁に追突しようものなら時速100kmの4倍の衝撃!」
などと考えながら、非力な大衆車をぶっ飛ばしていました。

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後日談です。実は英国の運転免許の申請は日本の運転免許を「切り替える」申請なので、原則として日本の免許は没収されます。
ただ、大使館が何らかの働きかけをしてくれているようで、特別に日本大使館を経由する形で運転免許証を返してもらえるという制度があります。
日本の運転免許証が失効するのが2020年の3月末までだったので、3月中にぎりぎり取り返すことができて幸運でした。
(その3日後の3月13日に日本ゆきのフライトで日本へ出張というギリギリのスケジュールでした。)


幸運にも今住んでいるヨークという街はとてもコンパクトで、中心部に住む限りは徒歩でだいたいの用事は片付けられるため、自動車は必要ではありませんが、とはいえ車で少し行ったところにイギリス有数の国立公園が複数あるためこの夏はぜひ知人の車を借りるなどしてドライブに行きたいなと思っているところです。