物理学会ーノーベル賞記念講演ー

29日は立教大学へ
「日本物理学会市民科学講演会 ノーベル物理学賞受賞記念講演会
ーサイエンスへの限りない好奇心ー」を聴きにいった。
午前中はバイトがあったために、会場へはギリギリで到着した。
生協食堂でカツカレーをかきこみ、開始時間に間に合った。

初めは物理学会長の二宮先生、そして協賛者の二人の方の挨拶で始まった。
その後、素粒子物理学の先端の理論物理学者の東島清教授(阪大)、CP対称性の破れの実証のリーダーをされた高崎史彦教授(KEK)のお二人の解説がある。
物理学会ということもあり、解説する内容はとても深い内容まで、しかも高校生にでも分かるように丁寧に話されていた。
ファインマンダイアグラムをもちいた電子の対消滅対生成の話と、CP対称性、カイラル対称性のお話、そして、K中間子のCP対称性の破れの発見とそこから得られた小林益川理論に至るまでのお話を伺った。
途中、行列が登場したのだが、行列の成分の中にファインマンダイアグラムが入っていて、何じゃこりゃ?と理解に苦しむ部分もあったが。(なんとなくいいたいことは分からなくもなかったが。。。)
やっぱり素粒子物理やる人の数学って難しそうだなぁー。と実感。

にしても、世間で騒がれる割に、まったく小林・益川理論の内容を知らなかった僕にはとてもいい講演を聴けた。

そして、高崎先生。
やっぱり実験物理学者もすごいなぁと実感させられた。
小林益川理論を最終的に証明したのはKEK(高エネルギ加速器研究機構)のKEKB加速器(Bファクトリー)とスタンフォード線形加速器センターのPEP-II 加速器である。
日本としては、KEKBで理論を実証出来たことはとても誇りに思えることだ。
KEKBの性能はとても高い。
しかも、加速器は整備点検などで停止することがしょっちゅうあるのだがKEKBは年間の9割以上の時間運転を続けている。
しかし、その高い性能を維持することはとても大変だそうだ。

いつも思うのだが粒子加速器の技術力の高さはすごい。
特にKEKBはLHC(スイスにある世界最高エネルギーの加速器)の陽子反陽子衝突と異なり、電子と陽電子(電子の反粒子)のビーム衝突で実験する。
電子ビームは陽子ビーム以上に小さい半径のものだ。
それを逆方向から飛んでくる陽電子と衝突させるわけだ。

以前、日本科学未来館で展示解説のボランティアをしていた時、KEKBについての展示が新しくなる際に、KEKBの研究者のお話を伺う機会があった。
そのときは、陽電子を加速するのは電子よりも難しいため、電子ビームに比べ、陽電子ビームのエネルギーは上げにくい(あまりエネルギーが大きすぎると、陽電子から出る光によって加速器の配管から電子が放出され追従滅してしまうため。)ということ、
そしてその技術はとてもすごいものだということ、くらいしか分からなかった。
しかし、今だからこそこの講演会を聴くことで、分かったこともとても多かった。

さて、二人の先生の解説のあと、江崎先生、小柴先生の挨拶があった。
(さすがは物理学会。ノーベル賞受賞者を4人同時に生で見れるとはすごすぎる。。)
そのご益川先生、小林先生のご講演があった。
お二方からも興味深いお話を伺うことが出来た。
理論の解説というよりも、どちらかというと一個人の物理学者としていままでやってきたことを聴かせて頂いたという感じだ。
しかし、ここのところの疲れと、理論・実験双方の解説で集中力を使い果たしてしまったため、実はちゃんと話をすべて聴くことができなかったのは内緒にしておこう。

今度、夏の物理チャレンジの際のご講演を聴く際にはちゃんと体調を万端にして講演を伺いたいと思う。

講演終了後は会場はサイン会と化していた。
僕は、大学の知り合いや先輩達(学会のお手伝いをされている方もいる)とおしゃべりしながらサイン会の様子をぼんやりと見ていた。
(人だかりで1mくらい離れたところにしか、いられなかったというだけのことであるが:笑)
結局ミーハーな方々がサインをもらっているのを眺めるだけで帰ることにした。
サインもらったところで、そんなことに浮かれていて勉強を怠ってしまっては本末転倒だもんなぁ・・・
(と書きつつも、本当は若干サインは欲しかったかも… :笑)

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